要旨
昨今の高齢化に伴い,入院時に栄養障害を有する患者は増加している.そのため,急性期病院だけでは栄養 管理は完結せず,地域ぐるみの栄養トータルケアの視点がますます重要になっている.真生会富山病院の栄養サポ ートチーム(Nutrition Support Team:以下,NST と略)では,地域包括ケアシステムの拠点病院として,近 年は地域NST の活動を強化している.その一環として,地域における栄養管理の現状把握と課題の抽出を目的に, 在宅および近隣施設における栄養サポート体制のアンケート調査を行った.その結果,在宅においては利用者が低 栄養だと認識した際,気軽に専門職に相談できる,地域の栄養サポート窓口が必要であること.近隣施設においては, 栄養サポート体制には施設間格差が大きい現状が明らかとなった.シームレスな栄養管理の実現には,地域への啓 発活動と適切な情報提供,地域NST の仕組みづくりが今後の課題である.
学会誌JSPEN Vol.2 No.4
地域包括ケアシステムにおける栄養サポートチーム活動の現状と課題―地域ぐるみの栄養トータルケアを目指して―
著者
結川美帆1)2),本藤有智1)3),真野鋭志1)3)
所属
医療法人真生会 真生会富山病院 NST1),同 食膳栄養科2),同 消化器センター3)
キーワード
地域包括ケアシステム,栄養トータルケア,地域NST