一般社団法人 日本栄養治療学会
理事長

山梨大学医学部 外科学講座第1教室
教授

市川 大輔

 
 この度、日本栄養治療学会(JSPEN)の理事長を拝命いたしました市川大輔です。本邦でも有数の会員数を誇り、歴史と伝統のある本学会の大役を仰せつかり、身の引き締まる思いでございます。

 昨年、本学会は比企前理事長のリーダーシップのもと、学会名称を「日本栄養治療学会」へ変更いたしました。学会名の変更は単なる名称の刷新にとどまらず、多職種が連携して治療に携わるという意識を広めるための第一歩であると考えております。私自身、消化器外科医として患者様の外科治療に携わる中で、病気に伴う栄養管理の重要性を痛感してまいりました。栄養治療はさまざまな治療において不可欠な要素であると認識しております。

 本学会では、多くの委員会で理事の先生方が活発に活動されておりますが、特に「新たなNSTの議論と確立」、「教育と研究の深化」、「恒久的な学会運営」に注力してまいりたいと考えております。具体的には、現在、多職種によるチーム医療としての栄養治療が加算として認められておりますが、次世代のNST体制についても議論を深めていく必要があると感じております。また、学生や若い医療従事者への教育が今後さらに重要になると考えております。学生時代に学ぶ栄養学は健康状態における理論が中心となりますが、病気に対する栄養治療の意義やその魅力を伝えていくことが極めて重要です。そのため、若い会員の皆様が効率良く学べる教材の作成やセミナーの開催に力を注ぐとともに、国際学会への渡航助成や国内留学制度を引き続き支援してまいります。本年には新たなガイドラインの発刊も予定しており、現時点でのエビデンスレベルの確認と今後の研究対象を見極める一助となることを期待しております。さらに、透明性を確保した学会運営も重要な課題と考えております。会員の皆様が常に知識をアップデートできる場として、持続可能な総会や支部会の開催体制の構築にも取り組んでまいります。

 本学会では、会員の皆様が各施設で最良の栄養治療を実現できるよう、最新の研究成果や実践的な知識を多職種で共有し、学び合う場を提供してまいります。また、新たな世代が輝き、次の世代に知識が受け継がれるよう、今後とも一層の努力を続けてまいります。皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。