要旨
【目的】遠隔転移を有する胆嚢がん症例に対し化学療法を行い,栄養指標としてprognostic nutritional index(以下,PNI と略)を用いて化学療法継続期間に対する評価を行った.【対象と方法】胆嚢がん症例76例中,化学療法を施行した遠隔転移を有する11例を対象とし,PNI と化学療法継続期間および予後との関係について検討した.【結果】PNI39未満の症例(8例)では,生存期間の中央値が5.3カ月に対し,PNI39以上の症例(3例)は7.8カ月と有意に生存期間の延長が認められた(p=0.027).また化学療法の継続期間では,PNI39未満の症例において3.6カ月であったのに対し,PNI 39以上の症例では13.0カ月と化学療法を継続することができた(p=0.036).【結論】遠隔転移を有する進行胆嚢がん患者の初診時におけるPNIが高値であることは,化学療法の長期継続を可能とし,結果として予後の延長につながる可能性が示唆された.