要旨
【目的】周術期の疼痛管理法の違いが,運動能と栄養の身体的回復指標に及ぼす効果について検討した.【対象および方法】当院において大腸がんに対し腹腔鏡補助下結腸・直腸切除術を施行し,術後に硬膜外自己調節鎮痛法,もしくは経静脈的自己調節鎮痛法と頓用で鎮痛薬を投与した頓用群(n=25)と定時投与した定時群(n=23)の2群に分け,患者の入院時,退院時,初回外来受診時における6分間歩行距離,握力,controlling nutritional statusを比較した.【結果】頓用群と比べて定時群の退院時と初回外来時の6分間歩行距離の実計測値と変化率,初回外来時の握力の変化率は有意に改善し(p< 0.05),術後在院日数についても定時群において短縮する傾向がみられた.【結論】単施設における後方視的研究の結果ではあるが,鎮痛薬の定時投与により術後疼痛が軽減され,リハビリの効果が増強することが示唆された.
学会誌JSPEN Vol.3 No.2
術後非オピオイド鎮痛薬の定時投与が及ぼすリハビリテーションへの効果について
著者
小原幸也1),中村崇宣2),中沼華澄3),宮田 剛4)
所属
岩手県立磐井病院 リハビリテーション技術科1),仙台市立病院 外科2),岩手県立胆沢病院 リハビリテーション技術科3),岩手県立中央病院 消化器外科4)
キーワード
大腸がん,周術期疼痛管理,身体機能