要旨
【目的】管理栄養士を中心として,摂食嚥下障害チームと協働のうえで実施された肺炎患者に対する粘度調整水を用いた早期の栄養サポートが治療経過に及ぼす効果について検討した.【対象と方法】肺炎で入院し,静脈栄養が施行された絶食患者を対象として嚥下機能検査を行い,経口摂取可能な水分の粘度を決定のうえ,早期からの経口補水を取り入れた多職種連携型の栄養管理計画を実施した.総症例数34 例のうち,調査期間内において退院もしくは転院した10 例,死亡1 例,検査未実施9 例を除外した14 例を対象とし,介入あり群6 例,介入なし群8 例に分け,比較評価を実施した.【結果】介入あり群において経口摂取エネルギー量および必要水分量に対する水分経口摂取率は有意に増加し,介入期間における静脈栄養や抗菌薬に関わる薬価を抑制することができた.【結論】肺炎患者に対して,管理栄養士を中心として粘度調整水を用いた早期の栄養サポートを実施した結果,治療効果や医療経済に貢献できるだけでなく,主治医の業務負担軽減につながる可能性が示唆された.
学会誌JSPEN Vol.3 No.3
肺炎患者に対する管理栄養士による早期栄養サポートの有用性の検討-粘度調整水を用いた末梢静脈栄養離脱の試み-
著者
森 茂雄1)2),金神有里3),中島里奈3),鈴木祥子3),櫻井英俊3),中本加純3),伊藤浩一3),土居ひかる4),久留宮康恵5),橋本 賢6)
所属
JA 愛知厚生連稲沢厚生病院栄養管理室1),JA 愛知厚生連豊田厚生病院栄養管理室2),JA 愛知厚生連稲沢厚生病院NST3),金田病院栄養科4),JA 愛知厚生連足助病院栄養管理室5),姫路日ノ本短期大学6)
キーワード
肺炎,粘度調整水,管理栄養士