要旨
【目的】透析患者の周術期栄養管理は手術成績に影響を及ぼす重要な課題であるが,その実態は明らかではない.我々は医療データベースを用いて透析患者の消化器術後栄養管理を後ろ向きに調査した.【方法】2009 年~2018 年に消化器切除術を受けた透析患者を栄養投与経路別に集計し,経口・経腸栄養未実施患者の経静脈的なエネルギー,アミノ酸,脂肪の処方量を日ごとに算出,術後7 日目の『透析患者の食事療法基準』(エネルギー≥30 kcal/kg,アミノ酸≥0.9 g/kg)に対する達成患者割合を算出した.【結果】対象1,471 名.経口栄養患者の割合は術後7 日目に80%に達した.経口・経腸栄養未実施患者の経静脈的栄養基準達成割合は,エネルギー13.4%,アミノ酸7.7%に過ぎず,脂肪処方割合も23.2%に留まった.【結論】経口・経腸栄養未実施透析患者への術後静脈栄養処方の現状は不足傾向にあり,エネルギーとアミノ酸の処方量の増加と脂肪乳剤の併用が望まれる.
学会誌JSPEN Vol.3 No.3
消化器術後の透析患者に対する栄養管理と静脈栄養での処方量に関するデータベース調査
著者
飯島正平1),谷 美由紀2),黒田晃功2)
所属
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 栄養腫瘍科1),株式会社大塚製薬工場 臨床応用開発部2)
キーワード
透析,静脈栄養,周術期栄養