要旨
症例は2 カ月男児.腸回転異常症・中腸軸捻転で,回盲部は残存するが残存小腸が30cm の短腸症候群となった.馴化期に入った後も,連日10 回以上の排便,夜間に2~3 時間ごとの排便があった.患児は体重増加が停滞し,頻便によるおむつ皮膚炎が増悪した.また,家人も頻回のおむつ交換で睡眠時間が確保できず,QOL が低下したため,以下の栄養管理の工夫を行った.①グァーガム分解物(partially hydrolyzed guar gum;以下,PHGG と略)の投与,②経管栄養剤や投与方法の検討,③五苓散の使用である.今回これらの3 つの工夫を含めて5 期に分類し,排便回数および夜間排便回数を比較検討したところ,probiotics とPHGG の併用,成分栄養剤とPHGG の混合液の持続投与に五苓散,離乳食を併用することで便性の改善と良好な体重増加が得られた.特に夜間排便回数が減少したことは,患児・家人のQOL 改善につながったと考えられた.
学会誌JSPEN Vol.3 No.3
グァーガム分解物の投与を中心とした栄養管理が排便のコントロールに有効であった短腸症候群の乳児の1例
著者
靍久士保利1),金田 聡1),飯田明彦2),内藤哲也2),池田理恵2),中澤保子2),若林由紀子2),山崎 明2),山本俊文2)
所属
長岡赤十字病院 小児外科1),栄養サポートチーム(NST)2)
キーワード
短腸症候群,グァーガム分解物,排便管理