要旨
【目的】重症心身障害者におけるセレン欠乏の実態と,血清セレン値が低い経口摂取患者に対しセレン補助食品を付加した効果を明らかにすることを目的とした.【対象および方法】重症心身障害者40名の血清セレン値を測定し,低値であった経口摂取患者22名にセレン補助食品を約3カ月の間付加し,再度血清セレン値を測定した.【結果】推定セレン摂取量は経腸栄養群が多く,血清セレン低値は経口摂取群に多かった.ペースト食摂取群は固形食摂取群と比べて推定セレン摂取量には差がなかったが血清セレンは低値であった.セレン補助食品の付加により血清セレン低値を示した21名中17名で血清セレン値が上昇した.【結論】形態調整食による経口摂取を実施している患者では,献立上の推定摂取量が経管栄養よりも少なく血清セレンが低値であったが,十分なセレン補給により血清セレンが上昇したことから,セレン含有補助食品の活用や,調理方法による提供セレン量の減少を考慮した栄養管理が有用だと考えられた.
学会誌JSPEN Vol.3 No.4
重症心身障害者における血清セレン値の特徴とセレン補助食品の摂取効果について
著者
渡邉一礼1),津田朱里1),中山 環2),土肥 守3)
所属
独立行政法人国立病院機構釜石病院栄養管理室1),独立行政法人国立病院機構姫路医療センター栄養管理室2),独立行政法人国立病院機構釜石病院リハビリテーション科3)
キーワード
セレン,重症心身障害者,栄養管理