要旨
【目的】大腿骨近位部骨折患者において,リハビリテーション栄養(以下,リハ栄養と略)チームの介入が周術期合併症に及ぼす影響を検討した.【対象と方法】大腿骨近位部骨折患者173例(平均84.5歳)を対象とし,リハ栄養チーム未介入群(control群;以下,CT群と略)88例,リハ栄養チーム介入群(rehabilitation nutrition群;以下,RN群と略)85例の2群において,誤嚥性肺炎,尿路感染症,深部静脈血栓症・肺塞栓症,死亡例の発生数を後方視的に比較検討した.【結果】誤嚥性肺炎は,RN群において有意に減少した(CT群:8/80例,RN群:1/84例,p<0.05).入院後の食事調整実施数はRN群で有意に増加し(CT群:17/71例,RN群:32/53例,p<0.05),術前の食事調整実施例についてもRN群で有意に増加した(CT群:術前7例/術後10例,RN群:術前26例/術後6例,p<0.001).尿路感染症,深部静脈血栓症・肺塞栓症および死亡退院については有意差がなかった.【結論】高齢の大腿骨近位部骨折患者に対する入院早期からのリハ栄養チームの介入は,誤嚥性肺炎の発症を有意に減少させることが示唆された.