要旨
【目的】Proton pump inhibitor(以下,PPIと略)を使用した急性期脳卒中患者において,アミノ酸源が低分子ペプチドであり,食物繊維としてペクチンを含有する経腸栄養剤(以下,HEと略)とアミノ酸源がたんぱく質であり,食物繊維としてグアーガム分解物を含有する経腸栄養剤(以下,PFと略)が腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した.【対象および方法】脳卒中後2週間に経腸栄養とPPI投与を行う患者を対象とした前向き観察研究を行った.26例をHE群とPF群の2群に分け,観察前後でT-RFLP解析による腸内細菌叢と糞便理化学分析を比較した.【結果】観察後両群でClostridium cluster Ⅺが有意に減少した.便pHはHE群でPF群よりも低下する傾向がみられた.【結論】急性期脳卒中患者において食物繊維が配合された経腸栄養剤を使用することで,PPIを併用していたとしてもClostoridioides difficile 感染症のリスクが抑制される可能性が示唆された.