要旨
症例は92 歳,女性.嚥下困難のため45 カ月間にわたり右内頸静脈カテーテルを留置されていたが,利便性を図るために皮下埋没型中心静脈ポート(以下,CV ポートと略)造設を依頼された.右鎖骨下静脈より穿刺を行い,ガイドワイヤーを上大静脈へ進めようと試みるも困難で,いったん留置を断念し造影CT 検査を行った.3DCT ではカテーテルに一致して右内頸静脈から上大静脈起始部に石灰化を認めた.後日に左鎖骨下静脈より留置を試みたところ,ガイドワイヤーは上大静脈へ進まず,最終的に左腕頭静脈の分岐部にカテーテルの先端を留置し,CV ポートを造設した.今回,45 カ月間におよぶ右内頸静脈カテーテル留置に伴う上大静脈分岐部の石灰化により,右鎖骨下静脈経路からのCV ポート造設が困難であった1 例を経験したので報告する.
学会誌JSPEN Vol.1 No.2
45カ月間におよぶ右内頸静脈カテーテル留置により上大静脈分岐部の石灰化をきたした1例
著者
岩田 力
所属
医療法人社団喜峰会 東海記念病院 外科
キーワード
上大静脈,石灰化,中心静脈カテーテル