要旨
【目的】回復期リハビリテーション(以下,リハと略)病棟に入院した80 歳以上の脳卒中患者の転帰に口腔機能がどのように影響するか明らかにする.【対象および方法】80 歳以上の脳卒中患者 241 例を退院先が在宅か施設かで群分けし,基本属性,医学的属性,入院時および退院時の機能的自立度,口腔機能を後ろ向きに検討した.また転帰先への影響因子とカットオフ値を検討した.【結果】在宅群は,入院時 ROAG 得点は,有意に低値であり,入院時FIM 運動項目,認知項目,退院時FIM 総得点,FIM 運動項目,認知項目は,有意に高値であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,入院時 ROAG 総得点(オッズ比1.19)とFIM 運動項目(オッズ比0.96)が在宅退院に影響を及ぼす関連要因として抽出された.またカットオフ値は,入院時ROAG 総得点(≦ 13 点)とFIM運動項目(≧ 30.1 点)であった.【結論】入院時の口腔機能から,在宅退院が困難と予測される高齢脳卒中患者の抽出と目標設定に寄与する可能性がある.