要旨
症例は53歳,女性.脳血管障害の後遺症で全盲と精神症状が後遺し,施設で長期療養していた.経口摂取量が徐々に減少し,るい痩が悪化していた.意識レベルが徐々に低下し,血液検査では血小板数が減少しており,播種性血管内凝固の疑いで当院に救急搬送された.血液検査で総タンパク5.0 g/dL,アルブミン2.6 g/dLの低栄養に加え,血小板数3.2万/μLの血小板減少症を認めた.血小板減少症の原因として,血小板減少性紫斑病や膠原病,薬剤性,肝不全,播種性血管内凝固,血栓性血小板減少性紫斑病などの検索を行ったがいずれも陰性だった.リフィーディング症候群に留意しながら経腸栄養,次いで経口摂取を開始したところ,栄養状態の改善とともに血小板数も回復し,最終的に低栄養状態による血小板減少症と診断した.極度の低栄養状態では骨髄に膠様脂肪萎縮が出現し,造血能が低下,血小板減少症に至ることがあり,注意を要する.
学会誌JSPEN Vol.4 No.1
経口摂取不良による極度の低栄養により発症した血小板減少症の 1 例
著者
白石 渉
所属
小倉記念病院脳神経内科1), 白石内科医院2)
キーワード
経口摂取,血小板減少症,低栄養