学会誌JSPEN Vol.1 No.2
空腸ストーマを有する短腸症候群になった血液透析患者の水分とナトリウム管理を行った2症例
著者
竹中麻理子1) ,岩本昌子1) ,東別府直紀2) ,西岡弘晶3)
所属
神戸市立医療センター中央市民病院 栄養管理部1) ,同 麻酔科2) ,同 総合内科3)
キーワード
血液透析,短腸症候群,空腸ストーマ
DOI
https://doi.org/10.11244/ejspen.1.2_86詳細
要旨
小腸ストーマが造設された短腸症候群患者は,脱水や電解質異常をより一層合併しやすく慎重な管理が必要である.今回,血液透析患者が空腸ストーマを有する短腸症候群になり,水分とナトリウムを管理した2 症例を報告する.症例1 は64 歳女性で,イレウスと腸管壊死のため小腸を切除し,空腸と回腸を端々吻合した.残存小腸が20〜35cm で空腸ストーマを有する短腸症候群になった.経口摂取するとストーマからの排液が著明に増加するため,ほとんど経口摂取ができず,静脈栄養で管理した.症例2 は71 歳男性で,上腸間膜動脈血栓症と腸管壊死のため小腸と盲腸を切除し,空腸と上行結腸を端々吻合した.残存小腸が100〜150cm で空腸ストーマを有する短腸症候群になり,経口摂取と静脈栄養で管理した.両症例ともドライウェイト,排液量,血清ナトリウム値などを参考にして水分とナトリウム投与量を調節したが,症例や病期により必要量は変化し,慎重に個別対応することが必要であった.
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