要旨
【目的】当施設入所中の重症心身障害児(者)の血清亜鉛値の実態を把握し,血清亜鉛値に影響する因子を同定する.【対象および方法】入所者の血清亜鉛値と,種々の属性,血液・尿検査所見との関連を検討した.【結果】対象301 名中115 名が低亜鉛血症(<60μg/dL)で,基準値内の対象者は17 名のみであった.血清亜鉛値はBMI,体重当たりエネルギー摂取量,血清アルブミン,血清クレアチニンと有意の正の相関があった.また,低亜鉛血症患者に寝たきり,気管切開,抗てんかん薬内服者の割合が有意に高かった.重回帰分析の結果,運動機能,BMI,誤嚥防止術,バルプロ酸,血清アルブミンが血清亜鉛値に有意に関連する因子であった.【結論】多くの対象者の血清亜鉛値は基準値を下回っていた.寝たきり,低BMI,誤嚥防止術,バルプロ酸内服,低アルブミン値は重症心身障害児(者)の血清亜鉛値低下の関連因子と推測された.【結論】多くの対象者の血清亜鉛値は基準値を下回っていた.寝たきり,低BMI,誤嚥防止術,バルプロ酸内服,低アルブミン値は重症心身障害児(者)の血清亜鉛値低下の関連因子と推測された.
学会誌JSPEN Vol.4 No.2
施設入所重症心身障害児(者)の血清亜鉛値とその関連因子の検討
著者
徳光亜矢 楠 祐一
所属
北海道療育園 小児科
キーワード
重症心身障害,血清亜鉛値,低亜鉛血症