要旨
【目的】肝移植術前握力・術後握力の経時的変化,周術期栄養管理の関係について検討.【方法】対象は2013 年1 月から2020 年2 月までに当院で成人生体肝移植を施行し移植後6 カ月以内死亡症例などを除いた125 例.筋肉量は体組成分析装置,握力は握力計で評価.1)術前握力,2)握力の経時変化(全症例,年齢別,性別,術前握力別),3)術後1 カ月の握力測定症例96 例を術後早期栄養投与量推奨以上投与群・未満群で握力回復率を比較,4)握力回復率高値群・低値群で術後在院日数を比較検討.【結果】1)術前握力低値例は45 例(36%)で,女性で有意に多く2)術後6 カ月で術前値に回復,術前握力低値群で有意に回復が早かった.3)たんぱく質の推奨以上投与群は未満群より有意に握力回復率が高値であった.4)握力回復率高値群で術後在院日数が有意に短かった【結論】生体肝移植術後早期の適切な栄養投与は,握力の早期回復および早期退院に寄与すると考え られる.
学会誌JSPEN Vol.4 No.2
肝移植術後握力の推移と術後早期栄養投与量の意義
著者
玉井由美子1) 海道利実2) 加茂直子3)
所属
京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部1), 聖路加国際病院 消化器・一般外科2), 京都大学大学院 医学研究科肝胆膵・移植外科学3)
キーワード
生体肝移植,握力,栄養投与量