2021 年4 月に鍋谷編集委員長の下で新たに学会誌JSPEN の編集委員を拝命し,約1 年が経過いたしました.何分,初めての編集委員の経験であり,不慣れな点も多々ありましたが,他の編集委員の先生方や学会事務局のサポートをいただきここまで努めて参りました.鍋谷委員長が尽力されている,栄養学に関する「良い論文」,投稿者と査読者,そして編集委員が勉強になるような学会誌を構築していくことを,私も自分の目標として,現在も取り組んでおり,そして今後も同様に取り組む所存です.また,多くの代議員・学術評議員の先生方には査読を依頼させていただいておりますが,各先生方のコメント一つ一つで非常に私自身が勉強になっていると日々感じております.一つの論文が世に発表されるまでには,査読とreviseを繰り返し行うことで,筆頭著者のみでなく関わった全ての人の知識がそこに集約されていきます.本誌に採択された論文は,非常に洗練された査読プロセスを経ていると感じており,必ず読者のためになるものであると確信しております.
 本誌は通常の診療科の雑誌とは異なり,栄養学についての学術雑誌です.そのため,様々な領域からの投稿があることが特徴だと考えております.つまり,栄養という共通点はあるものの,疾患,背景などは,非常に多方面からの報告となっております.本号には,造血幹細胞移植,重症心身障害児,肝移植術後,経皮経食道胃管挿入,肺がんが取り上げられています.同じ造血幹細胞移植の論文でも,思春期・若年成人に対しての介入,味覚異常など視点を変えたアプローチの論文が採用されているのも面白いところであると考えます.
 ちなみに,私の専門は心臓血管外科であるため,査読に関わるほとんどの論文が専門外といっても過言ではありません.毎回,投稿された論文を拝読するにあたり,勉強をして読み進めることを繰り返しております.実はNST 活動は,まさにそれの繰り返しだったな,と感じます.NST 回診で対応する患者さんはというと,内科疾患をお持ち,嚥下障害がある,微量元素不足,いや,二次性サルコペニア……,と,概ね私の専門とする心臓血管外科とは関係ないように思われます.しかし,高齢者が増え,基礎疾患が多い患者さんの手術機会も増加しているため,実はNST 活動で培った知識,経験が,普段の診療に一役買っていることも多々あるのでは?と改めて感じることが多くなっています.一つの論文に関わり,その結果,自分の引き出しが増えていくことを感じられるのはありがたい話です.
 皆様も普段の自分に関係ないような論文にこそ,いざというときに役に立つ知識がそこにあるかもしれない,と思って本誌を読んでいただきたいと思います.
 今後も,学会員の知識が広がるような,皆様の研究成果を積極的に投稿していただきたいと思います.

2022 年5 月吉日
e-journal「学会誌 JSPEN」編集委員
  群馬大学医学部医学系研究科総合外科学講座 循環器外科  立石 渉


編集委員会
委 員 長:鍋谷圭宏
副委員長:千葉正博
編集委員:大平雅一  小山 諭  立石 渉
     長沼 篤  林 宏行  丸山常彦
     森實敏夫

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学会誌JSPEN Vol.4 No.2
令和4年5月6日発行

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