要旨
【目的】重症心身障害児の胃食道逆流症に対する腹腔鏡下噴門形成術では術後の胃排泄遅延などの合併症が多く見られる.そこで,術後管理における経鼻空腸カテーテル(以下,NJCと略)の有用性を後方視的に検討した.【対象および方法】2008年から2018年までの期間に当院において腹腔鏡下噴門形成術を施行した症例を後方視的にNJCの有無で2群に分け,背景,術後経過,合併症について比較した.【結果】NJC有り群が27例,NJC無し群が13例であった.注入開始はNJC有り群が1.0 ± 0.4日で,NJC無し群の2.7 ± 2.6日より早かった.full feedingまでの日数は,NJC有り群が6.1 ± 2.1日,NJC無し群の12 ± 6.5日より早かった.合併症の発生率は,NJC有り群が5例(18%)で,NJC無し群の7例(54%)より少なかった.【結論】NJCの使用により,早期注入再開,早期のfull feeding達成,術後合併症の低減が認められた.
学会誌JSPEN Vol.4 No.3
重症心身障害児に対する腹腔鏡下噴門形成術の術後管理における経鼻空腸カテーテルの有用性
著者
髙澤慎也,西 明
所属
群馬県立小児医療センター 小児外科
キーワード
腹腔鏡下噴門形成術,経鼻空腸カテーテル,重症心身障害児
DOI
10.11244/ejspen.4.3_111