要旨
【目的】急性期脳卒中患者の栄養管理における,当院使用の早期経腸栄養開始プロトコル導入による効果と課題を検討した【対象および方法】経腸栄養を開始した脳卒中患者47名(本プロトコル導入前22名,導入後25名)について,絶食日数,排便状況,在院日数,経口摂取移行率,modified Rankin Scale(以下,mRSと略),入院時Glasgow Coma Scale,Geriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRIと略)低下率について後方視的に比較検討した.【結果】絶食日数は短縮し排便状況は改善した.経口摂取移行率は増加,在院日数は短縮し,mRSは改善した.GNRI低下率に変化はなかった.本プロトコル導入後に栄養投与量がTotal Energy Expenditure(以下,TEEと略)に満たない患者は68%であり,このうち経口摂取を併用していた患者は71%だった.【結論】本プロトコル導入は,経腸栄養管理を標準化でき,絶食日数や排便状況,経口摂取移行率で改善がみられた.経口摂取移行期ではTEE不足になる傾向があり,積極的な経腸栄養併用と包括的個別栄養管理の必要性が示唆された.
学会誌JSPEN Vol.4 No.3
急性期脳卒中患者における早期経腸栄養開始プロトコル導入の効果と栄養管理の課題
著者
小澤さおり1),野﨑礼史2),平野夏弥3),橋本優奈3)
所属
1) 茨城西南医療センター病院 看護部,2) 茨城西南医療センター病院 消化器外科,3) 茨城西南医療センター病院 栄養部
キーワード
急性期脳卒中,経腸栄養,プロトコル
DOI
10.11244/ejspen.4.3_125