要旨
長期の人工呼吸管理を要し,気管切開を行ったcoronavirus disease 2019(COVID-19)重症患者に対し,嚥下プロトコールを用いて初回嚥下機能評価を行い,早期に経口摂取を再開できた3症例を経験した.筋弛緩薬・鎮静薬・麻薬性鎮痛薬の投与日数は,それぞれ15日,12日,17日(平均値)であった.3症例とも経過中,経鼻栄養によって栄養管理がなされ,栄養指標は正常範囲内で経過した.気管切開後,平均10日以内に嚥下プロトコールを用いて嚥下機能評価を行い,摂食・嚥下障害の重症度診断では全例誤嚥ありと診断した.初回評価後,直接訓練を開始し,介入開始後3日以内に固形形態の食事摂取が可能となった.気管切開を行ったCOVID-19重症患者に対し,嚥下プロトコールを用いた初回嚥下評価後に早期嚥下リハビリテーションに介入することで,早期の経口摂取再開につながる可能性が示唆された.