要旨
【目的】大腸がん根治手術後再発に対する化学療法後の予後と骨格筋の変化との関連を検討した.【対象と方法】2010年4月から2021年3月まで,大腸がん根治手術後再発に対する化学療法が終了となった50例を対象として,化学療法後の予後と骨格筋比率(化学療法開始時と終了時の骨格筋面積の比率)および臨床病理学的因子との関連を解析した.【結果】単変量解析では,年齢および骨格筋比率減少,prognostic nutritional index(PNI)低下,modified glasgow prognostic score(mGPS)2,経口摂取低下が有意に予後不良であった.多変量解析では,骨格筋比率減少が独立した予後不良因子であった(ハザード比 0.94,p = 0.017).化学療法終了後90日生存率は,骨格筋比率90.5%未満で0.26[95% confidence interval(CI);0.10–0.47],90.5%以上で0.87(95%CI;0.68–0.95)であり,ログランク検定では90.5%未満で予後不良であった(p < 0.001).【結論】骨格筋比率は化学療法後の予後と関連し,化学療法終了後90日生存予測の指標としての有用性が示唆された.
学会誌JSPEN Vol.4 No.4-5
再発大腸がんに対する化学療法後の予後と骨格筋の変化との関連についての検討
著者
花本尊之
所属
苫小牧市立病院 外科
キーワード
サルコペニア,大腸がん,化学療法
DOI
10.11244/ejspen.4.4-5_167