要旨
短腸症候群(Short bowel syndrome;以下,SBSと略)では,長期にわたる静脈栄養(Parenteral nutrition;以下,PNと略)により,肝障害などのQuality of Lifeの 低下をきたす合併症が多い.SBSは残存腸管の状態からI型(空腸瘻),II型(空腸-結腸吻合),III型(空腸-回腸吻合)に分類される.I型は脱水・電解質異常のリスクが高く,II・III型はI型よりPN離脱の可能性は高いものの,結腸が残存するゆえに尿路結石,D型乳酸アシドーシスという合併症の発症リスクがある.食事療法は,単純糖質制限や少量頻回食などI~III型共通の内容もあるが,II・III型に特化したシュウ酸制限など,SBSの分類に応じた対応が必要になる.SBSの食事療法は複雑だが,残存腸管の解剖学的特性を理解して実践することが重要で,症状の緩和や腸管順応の促進により,PNの離脱/減量の可能性がある.
学会誌JSPEN Vol.4 No.4-5
成人短腸症候群の食事療法
著者
一丸智美
所属
藤田医科大学病院 食養部
キーワード
成人短腸症候群,食事療法,腸管順応
DOI
10.11244/ejspen.4.4-5_175