コロナ第8 波の入り口が押し寄せている2022 年11月中旬,本編集後記を執筆しています.中国のゼロコロナ政策の関連か様々な物流に影響が出ており,病院では尿カテやPEG 関連製品が品薄になるなど,日々の診療はまだまだコロナに翻弄されそうです.そんな社会情勢ですが,今回のNo.4,5 合併号には未来志向で前向きになれる論文がたくさん掲載されています.
 エキスパートレビューは本誌初めての試みであり,胃がん,食道がんの周術期栄養管理について,この分野のトップランナーの先生方に最新の動向を分かり易く解説していただきました.様々な医療スタッフに加えて患者さんやご家族が治療に積極的に参加して効率の良い周術期の栄養療法,運動療法を行うことは,アウトカムを改善する上で非常に重要なことだと改めて感じました.これらの取り組みは周術期だけではなく,がん薬物療法を受けている患者さんにも応用可能と思われ,この分野における今後の展開が楽しみです.原著論文では,BSC となった大腸がん症例の骨格筋比率減少について検討しています.新しい切り口であり,大変参考になる内容です.総説では成人短腸症候群の食事療法について分かり易く解説していただきました.引用文献数58 本の大作です.GLP-2 アナログ製剤が注目される中,病態別にきめ細やかな食事療法を行う重要性が理解できる内容となっています.2 つの症例報告では,臨床で遭遇した問題に対して,どうしたら現場の工夫で問題を解決できるのか,思考を巡らせて創意工夫することの重要性を改めて学ぶことができます.研究報告では,少容量で高蛋白・EPA 等を補給できるプリンについて検討しており,がん薬物療法を受ける患者さんの栄養状態改善の一助になればと思います.
 もうしばらくコロナ禍は続くと思われますが,本合併号を手にとっていただいた読者の皆様が,少しでも前向きになっていただければと思います.

2022 年11 月吉日
e-journal「学会誌 JSPEN」編集委員
  国立病院機構高崎総合医療センター 消化器内科   長沼 篤


編集委員会
委 員 長:鍋谷圭宏
副委員長:千葉正博
編集委員:大平雅一  小山 諭  立石 渉
     長沼 篤  林 宏行  丸山常彦
     森實敏夫

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学会誌JSPEN Vol.4 No.4-5
令和4年11月30日発行

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