要旨
【目的】PEG症例における胃食道逆流の発生率を算出し,胃瘻造影に基づいた経腸栄養アクセスの選択を行った.【対象および方法】対象は2016 年5 月~2021 年7 月までに当院でPEGを施行した158 例.PEG 後1 日目に胃瘻より希釈したアミドトリゾ酸ナトリウムメグミン250 mLを注入し,上中部食道までの胃食道逆流を認めた症例に対しPEG-Jへの入れ換えを行った.【結果】上中部食道までの逆流は37 例(23.4%),下部食道までの逆流は5 例(3.2%)であった.PEG症例のうち33 例でPEG-Jに交換した.術後の嘔吐は,胃瘻4 例,PEG-J 0 例であった.術後3 カ月以内の肺炎発症は,胃瘻31 例(24.8%),PEG-J 9 例(27.3%)であった.早期死亡および長期生存において,胃瘻とPEG-J で差はなかった.【結論】潜在的に胃食道逆流を起こしうる症例でも,PEG-Jに入れ換えることによって,嘔吐は認めず,肺炎の発症数も増加しなかった.胃瘻造影等の検査を行い,適切に経腸栄養アクセスを選択することが重要と考えた.
学会誌JSPEN Vol.5 No.1
経皮内視鏡的胃瘻造設術施行症例における胃瘻からの造影検査に基づいた胃食道逆流を考慮した経腸栄養アクセスの選択
著者
神崎憲雄1),小野幸子2),稲沼千春2),小林奈緒美3),鈴木悠里4),木村純子4),國井恵理5),四家文恵5),日置清子5),黒川友博1)
所属
1) 公益財団法人ときわ会常磐病院 外科,2) 公益財団法人ときわ会常磐病院 看護部,3) 公益財団法人ときわ会常磐病院 リハビリテーション課, 4) 公益財団法人ときわ会常磐病院 薬剤部, 5) 公益財団法人ときわ会常磐病院 栄養課
キーワード
胃食道逆流,胃瘻造影,経胃瘻的空腸瘻(PEG-J)
DOI
10.11244/ejspen.5.1_3