要旨
【目的】胃内容排出遅延は,膵頭十二指腸切除術後の合併症の1つであるが,臨床経過や栄養状態に与える影響についての詳細な報告は少ない.当院における胃内容排出遅延症例の臨床経過,栄養状態への影響について検討を行った.【対象および方法】2014 年から2017 年までに当院で膵頭十二指腸切除術を行った175 例を対象に,胃内容排出遅延を認めた症例98 例と,認めなかった症例77 例に分けて,術後経過や術後合併症,Controlling nutritional status スコアによる栄養状態について解析を行った.【結果】胃内容排出遅延は,女性であること,術後合併症の発生と有意に関連した.一方,栄養状態との比較では明らかな差は認めず,膵がん症例においても生命予後との関連は認めなかった.【結論】胃内容排出遅延は,術後合併症の発生と関連するが,適切な栄養サポートを行うことで,栄養状態を悪化させることなく,退院させることが可能であると思われた.
学会誌JSPEN Vol.5 No.2
膵頭十二指腸切除術における胃内容排出遅延の臨床経過・栄養状態への影響に関する検討
著者
三浦温子1),元井冬彦2),伊関雅裕3),石田晶玄3),狩野修代1), 佐藤裕子1),佐藤菜保子4),大沼 忍3),亀井 尚3),海野倫明3)
所属
1) 東北大学病院 看護部,2) 山形大学医学部 第一外科,3) 東北大学 消化器外科学,4) 福島県立医科大学 看護学部
キーワード
胃内容排出遅延,膵頭十二指腸切除術,Controlling nutritional status (CONUT)
DOI
10.11244/ejspen.5.2_67