【目的】乳がん診断時より肥満度が上昇した患者は乳がん再発および死亡リスクが高いと報告されている.本研究では肥満乳がん患者に対する減量栄養指導の成績を明らかにするため,治療内容,指導回数,頻度と体重減少率の関連を検討した.
【対象および方法】2017年7月から2020年3月に,減量目的に栄養指導を受けた乳がん患者を対象とし,栄養指導前後の体重変化を後方視的に調査した.3%以上の体重減少を認めた症例を「減量達成群」,3%未満を「減量未達成群」として,患者背景,指導回数,頻度,期間との関連を比較検討した.
【結果】220例中,120例(55%)で3%の減量が達成された.減量達成群では指導回数4回以上,介入期間5カ月以上の患者が有意に多かった.多変量解析では指導回数4回以上が減量達成と有意に関連していた.
【結論】栄養指導を4回以上行うことは,3%以上の減量達成につながる可能性が示唆された.
学会誌JSPEN Vol.5 No.3-4
肥満乳がん患者に対する減量栄養指導の成果に関連する因子の検討
著者
榎田滋穂1,2),片岡明美3),伊丹優貴子1,2),藤原 彩1,2),中屋恵梨香1,2),松下亜由子1,2),川名加織1,2),斎野容子1,2),井田 智1,2,4),熊谷厚志1,2,4)
所属
1) 公益財団法人がん研究会有明病院 栄養管理部,2) 公益財団法人がん研究会有明病院 NST,3) 公益財団法人がん研究会有明病院 乳腺センター,4) 公益財団法人がん研究会有明病院 胃外科 体重減少,栄養指導,乳がん
キーワード
体重減少,栄養指導,乳がん
DOI
10.11244/ejspen.5.3-4_99