(目的)初回通過効果(first-pass effect;以下,FPEと略)は,吸収後の薬剤が経門脈的肝臓通過時に代謝される(多くは失活)ことで,効率は門脈血流量(Portal flow volume;以下,PFVと略)と相反する.本研究では,胃瘻栄養の薬剤至適投与タイミングを明らかにする.
(方法)胃瘻栄養児5例(男児2例,平均7.6歳)に1時間で310.8 mL/m2のイノラス®配合経腸用液は水分のみ,1/2濃度,原液で,超音波パルスドプラ法で体表面積換算のPFVを計測した(開始前-後0.5,1,1.5,2,3時間).対照は等量飲水の健常児18例である.
(結果)対照は開始前833.2 mL/分/m2,以降2.1,1.6,1.3,1.2,1.1倍であった.胃瘻栄養児の開始前は水分のみ814.1,1/2濃度1,040.2,原液938.6 mL/分/m2で,対照と同様の推移であった.
(結論)胃瘻注入開始時点の薬剤注入で,FPEによる失活の抑制が予測される.
学会誌JSPEN Vol.5 No.3-4
胃瘻からの経腸栄養剤投与が初回通過効果におよぼす影響:小児例での検討
著者
藤井喜充
所属
関西医科大学 小児科学講座
キーワード
胃瘻栄養,初回通過効果,門脈血流量
DOI
10.11244/ejspen.5.3-4_107