4 年近く続いたコロナ禍も5 類移行に伴って,急速に以前の日常が戻りつつあります.感染者数はそれなりに多いのかもしれませんが,街中ではマスクをしている人が少数になっていますし,病院の会議はZOOM の便利さを享受しながらも対面で集まることも多くなってきました.学会は現地開催が主となり,実はこの編集後記も久しぶりの海外学会中に書いています.学会誌JSPEN の投稿数を見てみると,2020 年はコロナ禍で落ち込みましたが,2021 年,2022 年とも年間50 本を超える投稿をいただいております.2023 年初めはやや投稿数が減りましたが,学術集会で投稿促進フライヤーを配布した結果もあり,増加傾向にあって例年と同様かそれ以上の投稿数を予想しています.会員の皆様の研究成果を発信できる場として引き続き役目を果たしていきたいと強く願う次第です.
一方,2024 年4 月に施行される医師の働き方改革まで,約半年となりました.時間外労働の上限が制限
されることに向けて,各病院では勤退管理システム整備や健康確保措置の運用など準備を進めていることと思います.労働時間を適切に管理するためには,その業務が労働なのか,研鑚なのかの区別がスタートになります.医療機関での研究,学会発表,論文執筆は純粋な労働なのか,自己研鑽なのか?と問われてもなかなか難しく,施設ごとに,また状況ごとに見解がまちまちなのが現状だと思います.働き方改革によって多くの病院ではこれまで以上に診療にかける時間の比率が研究・教育よりも多くなってしまうことが予想されますが,学術活動は本来,自主的に行われるものです.労働として扱うことは何かそぐわない感じがするのは私だけでしょうか.労働,研鑽に関係なく,学術活動がアクティブに行われ,その結果として,本誌へ質の高い論文が数多く投稿されるように期待したいと思います.本号の掲載論文を見ますと,減量という栄養学の新しい視点からのチーム医療(原著),経胃瘻経腸栄養剤投与が薬物初回通過効果におよぼす影響(臨床経験)は,いずれも興味深い読み応えのある論文となっています.さらに症例報告が3 編ありますが,どれも日常診療で遭遇し得る病態で,その対応は大変ためになるものと感じました.また,JSPEN フェローシップを受賞された岸先生のASPEN2022 発表報告は,若手医師のモチベーションを上げるに十分な内容となっています.
2023 年9 月吉日
e-journal「学会誌JSPEN」編集委員会 委員長
東北大学大学院医学系研究科 消化器外科学分野
亀井 尚
編集委員会
委 員 長:亀井 尚
副委員長:千葉正博
編集委員:天野良亮 井田 智 神谷貴樹
立石 渉 長沼 篤 中山真美
森實敏夫
顧 問:鍋谷圭宏
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学会誌JSPEN Vol.5 No3-4
令和5年9月28日発行
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4丁目4-3
喜助日本橋室町ビル4階
MAIL:jimukyoku@jspen.or.jp
ジャーナル制作 中西印刷株式会社
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Ⓒ2023 by Japanese Society for Clinical Nutrition and Metabolism
学会誌JSPEN Vol.5 No.3-4
学会誌JSPEN Vol.5 No.3-4 編集後記
著者
亀井 尚
所属
東北大学大学院医学系研究科 消化器外科学分野