症例は81歳,男性.アルツハイマー型認知症のため2年前から経胃瘻的空腸瘻(percutaneous endoscopic gastrostomy with jejunal extension;以下,PEG-Jと略)を使用した経腸栄養を実施していたが,腹痛・嘔吐を主訴に救急受診した.腹部造影CT検査にて,PEG-Jカテーテル先端付近の腸間膜にwhirl signを認め,周囲の腸管には高度の浮腫と造影効果の減弱を認めた.絞扼性小腸閉塞と診断し緊急開腹手術を実施したところ,空腸起始部より10 cmの部位で空腸が強く屈曲し,同部より肛門側の空腸がカテーテルを軸に360度時計回転方向に捻転していた.用手的に捻転を解除したところ,空腸の色調・蠕動に改善を認めたため腸切除は要さなかった.術中にPEG-Jカテーテルは抜去し,胃瘻カテーテルを留置して手術を終了した.術後経過良好にて第17病日に退院し,その後も症状の再燃無く経過している.PEG-Jを用いた経腸栄養患者においては,稀に重篤な合併症を起こす場合があるため注意が必要である.