本邦では多くの患者が誤嚥性肺炎でなくなる.一般的に高齢者の誤嚥性肺炎は加齢,活動性の低下といったフレイルの状態から,徐々に介護期・終末期に移行し,終末期ともなると患者の経口摂食に対する要求を満たすことは困難となる. 本論では介護期・終末期における誤嚥性肺炎患者の摂食への要求に対して,手術を含めた栄養改善療法の意義について考察し,この時期における適切な治療の方向性を共有するため,その栄養療法の選択と予後についてのイメージグラフを作成した. また,終末期誤嚥性肺炎に対する外科的治療の適応は未確立だが,有効例を挙げて考察を加えた.症例は77歳,男性,脳梗塞後の脳血管性パーキンソニズムで,サルコペニアによる嚥下障害にて繰り返す誤嚥性肺炎を認めた.当科への転院時,体重30 kgを下回り,Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus(MRSA)肺炎となっていたが,誤嚥防止術として声門下喉頭閉鎖術を施行し,患者の望むカレーライスの摂食が可能となった.