学会誌JSPEN Vol.6 No.2
初期治療後の重症COVID-19患者における短期予後予測
著者
山根泰子1),広田将司2),中本直樹3),西野芙季1),隈元理香1),矢田光絵4),川田真大3),本告正明2),岩瀬和裕2)
所属
1) 大阪急性期・総合医療センター 栄養管理室,2) 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科,3) 大阪急性期・総合医療センター 救急診療科,4) 大阪急性期・総合医療センター 歯科口腔外科
キーワード
重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19),栄養,予後予測
DOI
10.11244/ejspen.6.2_75
詳細
【背景】重症新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19と略)の集中治療期は入院時の栄養に関する検査項目やprognostic nutrition score(以下,PNIと略)やcontrolling nutritional status(以下,CONUTと略)などの臨床指標が予後と関連すると報告されている.後方療養期の患者においてこれらの指標と予後との関連は不明である.
【方法】2020年12月~2021年6月の間,大阪コロナ重症センター(後方療養施設)退院の132例について,栄養に関する検査項目を含む入院時の患者因子と予後との関連を多変量解析で検討した.
【結果】死亡退院は39例(29.5%)で,receiver operating characteristic(ROC)解析で死亡検出のカットオフを定めて多変量解析を行うと,総リンパ球数(total lymphocyte count;以下,TLCと略)(≤400/μL),血清アルブミン値(albumin;以下,Albと略)(≤2.1 g/dL)CONUT(≥8),PNI(≤24.5),投与熱量(≤17.7 kcal/kg/day)は有意な死亡関連因子であった.
【結語】重症COVID-19患者において,後方施設入院時のTLC,Alb,PNI,CONUT,投与熱量は予後因子であり,集中治療期からの栄養管理の重要性が示唆された.
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