【目的】食欲不振は化学療法患者に高頻度の副作用で,治療意欲やquality of life(QOL)の低下と関連する.今回,個別対応食(味彩食)のがん支持療法としての効果を検討した. 【対象と方法】2022年4月~2023年3月に味彩食を利用した化学療法中の患者を対象とし,背景,味彩食導入理由,食事摂取量等を後方視的に調査した.摂取量は介入前後でエネルギー,蛋白質量を評価し前後比較した.統計学的分析はEZRを用い,Wilcoxon符号付順位和検定で検討し有意水準はp < 0.05とした. 【結果】対象20名[年齢66 ± 9.7歳,男性12名,女性8名],導入理由は食欲不振が最多であった.味彩食を提供した夕食ではエネルギー量(kcal)が中央値[interquartile range(IQR)]で94[50–309]から332[221–412](p < 0.001),蛋白質量(g)が4.0[2.0–12.2]から11.5[9.8–20.8](p < 0.001)へ増加した. 【結論】個別対応食はがん化学療法中の食欲不振に対し摂取栄養量の増加に寄与する可能性が示唆された.