学会誌JSPEN Vol.6 No.3
乳がん関連上肢リンパ浮腫患者における体脂肪量と浮腫の関連
著者
伊丹優貴子1),片岡明美2),榎田滋穂1),中屋恵梨香1),高木久美1),松下亜由子1),川名加織1),斎野容子1),井田 智1,3),熊谷厚志1,3)
所属
1) がん研究会有明病院 栄養管理部,2) がん研究会有明病院 乳腺センター,3) がん研究会有明病院 消化器外科
キーワード
リンパ浮腫,乳がん,肥満
DOI
10.11244/ejspen.6.3_133
詳細
背景:乳がん関連上肢リンパ浮腫において,減量は浮腫を改善するが体脂肪量減少と浮腫改善の関連は明らかではない.
対象・方法:2016年6月~2018年12月に栄養指導を実施した乳がん関連上肢リンパ浮腫患者.体脂肪量変化と浮腫改善効果の関連を後方視的に検討した.
結果:対象27名の指導後Body mass index(kg/m2)中央値(範囲)は27.6(23.5–38.9)であり,指導開始前の28.5(23.4–43.2)と比較して有意に減少した(P < 0.001).患側細胞外水分比は0.388(0.372–0.422)であり,指導開始前の0.390(0.378–0.421)と比較して減少傾向が見られた(P = 0.211).浮腫減少良好群の健側体脂肪量変化は–0.20(–1.35~+0.19)kg,不良群のそれは–0.01(–0.96~+0.57)kgであった(P = 0.049).
結語:栄養指導による減量はリンパ浮腫を改善した.改善度合いは病期などによる個人差があるため,患側の浮腫測定だけではなく,健側の脂肪量測定が適切な栄養指導の評価指標になり得る.
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