学会誌JSPEN Vol.6 No.3
Stevens-Johnson症候群による低栄養患者に合併したrefeeding症候群の1例
著者
村山 敦1),高見友也2,3),松浦 幸4),姜 良順1),賀集-魚住のぞみ5),中井千夏6),敦見真由美6),寺内京子7),徳永祐子7),植田智恵4)
所属
1) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 歯科口腔外科,2) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 緩和ケア科,3) ひとみるクリニック,4) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 消化器内科,5) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 外科,6) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 薬剤部,7) 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 栄養科
キーワード
Stevens-Johnson症候群,Refeeding症候群,低リン血症
DOI
10.11244/ejspen.6.3_143
詳細
Stevens-Johnson症候群(以下,SJSと略)に罹患し経口摂取困難となった76歳男性に経腸栄養を開始したところ,refeeding症候群(以下,RFSと略)を発症した症例を報告する.薬疹と低ナトリウム血症にて緊急入院,経時的に口腔粘膜の出血性びらんが増悪しSJSと診断された.入院当初は経口摂取可能であったが,徐々に摂取量は減少し5日間全くエネルギーが摂取できなかった.経腸栄養を開始したところ,開始2日目に血清リン値の急激な低下と深大性呼吸,意識混濁を認め,RFSと診断した.直ちに経腸栄養を中止し経静脈的にリンの補正を行った後,脂肪乳剤併用しながらごく少量からの経腸栄養を再開した.SJSとRFSに対する治療は奏効し寛解に至り,完全経口摂取へ移行できた.経口摂取困難になったSJS患者に経腸栄養を開始するときは,低栄養状態になった他疾患患者と同様,栄養投与開始後の低リン血症に起因するRFSのリスク考慮した栄養療法を行う必要がある.
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