学会誌JSPEN Vol.7 No.1
嚥下障害患者に対するエネルギー量を増加させた嚥下調整食(つるん食)の導入は経口摂取への移行を促進させる
著者
齋藤新貴1,2),井上達朗2),吉田英毅3)
所属
1) 医療法人誠心会吉田病院 栄養科,2) 新潟医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科,3) 医療法人誠心会吉田病院 消化器内科
キーワード
摂食嚥下リハビリテーション,嚥下障害,直接訓練
DOI
10.11244/ejspen.7.1_3
詳細
本研究は,従来の嚥下調整食よりエネルギー量が高い「つるん食」の導入が3食経口摂取達成に与える影響を明らかにすることとした.対象は摂食嚥下リハビリテーション(以下,嚥下リハと略)を実施した嚥下障害患者64名とした.嚥下リハ時につるん食を摂取した群(つるん食群)と摂取しなかった群(従来食群)の2群に分類し,Propensity Score Matchingで患者背景を揃えた結果,最終的な解析対象者は46名(男性19名,女性27名,平均年齢85.8歳)となった.3食経口摂取移行率は,つるん食群が従来食群より有意に高かった(73.9% vs 30.4%,p < 0.01).ロジスティック回帰分析の結果,つるん食(OR = 13.9,95% CI 2.45–78.5,p < 0.01)は3食経口摂取移行に有意に影響を与えた.つるん食を使用した摂食嚥下リハは3食経口移行率を高める可能性が示唆された.
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