学会誌JSPEN Vol.7 No.1
W-EDチューブを用いた術前栄養管理が有用であった幽門狭窄胃がんの2症例
著者
窪田友紀1),三松謙司1,2),伊藤祐介2),吹野信忠1),上原秀一郎3)
所属
1) 独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜中央病院 外科,2) 独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜中央病院 NST,3) 日本大学医学部 外科学系小児外科学分野
キーワード
W-EDチューブ,幽門狭窄胃がん,術前栄養管理
DOI
10.11244/ejspen.7.1_29
詳細
症例1は74歳女性.幽門狭窄胃がんのため経口摂取不良となり入院した.controlling nutritional status(以下,CONUTと略)スコア7点,プレアルブミン11.8 mg/dLと中等度栄養障害を認め,double elementary diet tube(以下,W-EDTと略)による胃内減圧と経腸栄養(enteral nutrition;以下,ENと略)による術前栄養管理を6日間行った.プレアルブミンは14.6 mg/dLに増加した.腹腔鏡下胃空腸吻合術を施行し,術後合併症なく退院した.症例2は80歳男性.幽門狭窄胃がんの診断で入院した.CONUTスコア5点,プレアルブミン17.2 mg/dLと中等度栄養障害を認め,W-EDTを留置しENによる術前栄養管理を13日間行った.プレアルブミンは21.9 mg/dLに増加した.幽門側胃切除術を施行し,術後乳び瘻を発症したが,脂肪制限食で軽快し退院した.W-EDTは胃内減圧とENを同時に施行でき,幽門狭窄胃がんにおいて栄養状態の改善を見込める有用なデバイスであると考えられた.
論文ダウンロード