症例1は74歳女性.幽門狭窄胃がんのため経口摂取不良となり入院した.controlling nutritional status(以下,CONUTと略)スコア7点,プレアルブミン11.8 mg/dLと中等度栄養障害を認め,double elementary diet tube(以下,W-EDTと略)による胃内減圧と経腸栄養(enteral nutrition;以下,ENと略)による術前栄養管理を6日間行った.プレアルブミンは14.6 mg/dLに増加した.腹腔鏡下胃空腸吻合術を施行し,術後合併症なく退院した.症例2は80歳男性.幽門狭窄胃がんの診断で入院した.CONUTスコア5点,プレアルブミン17.2 mg/dLと中等度栄養障害を認め,W-EDTを留置しENによる術前栄養管理を13日間行った.プレアルブミンは21.9 mg/dLに増加した.幽門側胃切除術を施行し,術後乳び瘻を発症したが,脂肪制限食で軽快し退院した.W-EDTは胃内減圧とENを同時に施行でき,幽門狭窄胃がんにおいて栄養状態の改善を見込める有用なデバイスであると考えられた.