暦の上では立春ですが,まだまだ寒い2 月3 日に本編集後記を執筆しています.2025 年は立春が2 月3 日になり,その前日である2 月2 日が節分という珍しいことになりました.立春は太陽の黄経(太陽から見た地球の位置を表す角度)が315 度になる時点とされており,天文学的な計算によって稀に節分が2 月2 日になるそうです.節分の行事である豆まきは,その年の邪気を払い,福を呼び込む意味があります.読者の皆さんも豆まきをされたでしょうか.下水道事故など暗
いニュースが多い昨今,是非福を呼びたいですね.
さて,今回の学会誌JSPEN Vol. 7 No. 1 は,総説1 編,原著論文1 編,臨床経験1 編,症例報告2 編,学会参加記4 編,報告記6 編と盛りだくさんの内容となっています.どの報告も大変勉強になる内容と思いますが,中でも私の一押し論文は,「嚥下障害患者に対するエネルギー量を増加させた嚥下調整食(つるん食)の導入は経口摂取への移行を促進させる」という齋藤先生らによる原著論文です.選考理由としては,嚥下食だけで高いエネルギー量を賄うのは難しいという従来の概念を覆す形でつるん食を開発され,更に実際の臨床現場で嚥下障害症例に導入した結果,3 食経口摂取者数を有意に増加させた点です.後方視的観察研究ではありますが,Propensity Score Matching で患者背景を丁寧に揃えた上でつるん食群と従来食群の2 群間比較を行っており,嚥下障害症例に対するつるん食の臨床的有用性が期待される内容であり,今後は前向き介入研究での更なる検証が望まれます.
また学会参加記では, 欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN2024,ミラノ)と国際栄養士会議(ICND2024,トロント)への参加状況が報告されました.筆者もESPEN2024 のポスターセッションで発表しましたが,日本から多くの若い方がESPEN やLLL に積極的に参加している状況を目の当たりにして,とても頼もしく感じました.今回の参加記からも現地の様子が良く理解できると思われ,海外で発表されるJSPEN 会員が益々増えることを期待して,編集後記とさせていただ
きます.
2025 年2 月吉日
e-journal「学会誌JSPEN」
編集委員会
独立行政法人国立病院機構
高崎総合医療センター
消化器内科
長沼 篤
編集委員会
委 員 長:亀井 尚
副委員長:千葉正博
編集委員:天野良亮 石橋生哉 井田 智
神谷貴樹 立石 渉 長沼 篤
中山真美 森實敏夫
顧 問:鍋谷圭宏
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学会誌JSPEN Vol.7 No1
令和7年2月28日発行
一般社団法人 日本栄養治療学会
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4丁目4-3
喜助日本橋室町ビル4階
MAIL:jimukyoku@jspen.or.jp
ジャーナル制作 中西印刷株式会社
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Ⓒ2025 by Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy
学会誌JSPEN Vol.7 No.1
学会誌JSPEN Vol.7 No.1
著者
長沼 篤
所属
独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器内科