学会誌JSPEN Vol.7 No.3
頭頸部がん化学放射線療法における重症粘膜炎の発症と治療2週目の経口エネルギー摂取量との関連
著者
左手裕美1),西條 豪1),竹谷耕太1),安元浩司2),森 大輔3),良本佳代子1,4)
所属
1) 独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院 栄養管理部,2) 独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院 循環器内科,3) 独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院 腎臓内科,4) 独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院 糖尿病内科
キーワード
頭頸部がん,経口エネルギー摂取量,粘膜炎
DOI
10.11244/ejspen.7.3_127
詳細
目的:頭頸部がんに対する化学放射線療法において,粘膜炎は頻度の高い有害事象であり,重症粘膜炎は治療完遂の妨げとなる.今回,重症粘膜炎と治療初期の経口摂取量の関連について検討した.
対象および方法:対象は化学放射線療法を行った中咽頭,下咽頭,喉頭がん患者.重症粘膜炎に対する治療初期の経口エネルギー摂取量の影響を検討すべく,多変量解析を実施した.
結果:対象は63例,重症粘膜炎は26例(41%)であった.多変量解析の結果,治療2週目経口エネルギー摂取量は重症粘膜炎に関連する独立因子であった(オッズ比0.89,95%信頼区間0.82–0.97,p = 0.007).重症粘膜炎をアウトカムとした2週目経口エネルギー摂取量のReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線は,Area Under the Curve(AUC)0.73,カットオフ値25.2 kcal/kg/dayであった.
結論:治療2週目の経口摂取量の不足は粘膜炎重症化と関連する可能性があり,積極的な栄養療法が必要と考えられた.
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