【目的】経腸栄養症例を対象に,血清Na値と患者特性および食塩補給量と水分補給量との関連をみることで,低Na血症を予防した経腸栄養管理について検討を行った. 【対象および方法】2018年4月~2021年11月に当院での胃瘻造設後1年以上の完全経管栄養管理された患者を対象とし,低Na血症(血清Na値135 mEq/L未満)と年齢,性別,Body Mass Index,Alb,食塩補給量(3 g未満/日),体重あたりの水分補給量(35 mL/kg以上),利尿剤内服の有無,脳卒中の既往有無,エネルギー補給量との関連を後方視的に検討した. 【結果】89例のうち18%に低Na血症が見られた.低Na血症に関わる因子として,1日あたりの食塩補給量3 g未満,水分補給量35 mL/kg以上であることが有意に関連していることが示された. 【結論】低Na血症予防のために,初回投与量の下限として1日あたり食塩補給量3 g以上のNa管理を行うとともに,年齢と体格を考慮した水分管理を行うことが重要である.