【目的】嚥下造影検査(Videofluoroscopic Examination of Swallowing;以下,VFと略)によるOral Preparatory Phaseの簡易的評価にて,口腔機能低下がおよぼす影響を検討した. 【対象および方法】対象は,2018年2月から2022年7月までに,当院でVFを行った207例.嚥下の評価は,VFスコアの「①咀嚼(咀嚼様運動)・舌の動き」を用い,0点:十分に咀嚼でき,スムーズに奥舌に運ばれる,1点:咀嚼は不十分だが,奥舌まで運ぶことができる,2点:咀嚼様運動はあるが,奥舌までうまく運べない,3点:咀嚼が十分にできず,奥舌までうまく運べない,とした. 【結果】Barthel Indexの平均は,0点に比べ1点,2点,3点で有意に低かった.摂食可能率は,0点に比べ2点,3点で有意に低かった.肺炎の発症率は,0点に比べ3点で有意に高かった.生存期間中央値は,0点に比べ3点では有意に短かった. 【結論】口腔機能低下は,身体機能,摂食率,肺炎発症率,生命予後に影響する可能性が示唆された.