要旨
要旨:半固形栄養剤の使用対象は,正常に近い胃の機能を持つ患者と考えられており,食道切除後の再建胃管に対する投与例の報告は稀である.今回,食道がん術後の患者の再建胃管に胃管瘻を作成し,半固形栄養剤を合併症なく投与できた症例を報告する.症例は67 歳男性で,食道がんに対し食道亜全摘術,食道胃管再建術を施行し,同時に胃管瘻を造設した.術後,胃管瘻から空腸まで栄養チューブを挿入し液状の栄養剤を投与したが,投与時間が長いことや下痢のため,患者は経腸栄養剤の使用を自己中断していた.そこで胃管瘻チューブを16Fr に変更し,半固形栄養剤を胃管内へ投与した.それにより経腸栄養剤の投与時間を大幅に短縮でき,下痢は起きず高血糖やダンピング症候群などの合併症もみられなかった.胃管の機能や器具の使用法に注意しながら半固形栄養剤を胃管瘻から胃管に短時間で安全に投与でき,食道がん術後の栄養管理法の一つになり得ることが示唆された.
学会誌JSPEN Vol.1 No.3
盲端となった胃管へ半固形栄養剤を投与し栄養管理を行った食道がん切除後の1例
著者
茨木まどか1),東別府直紀2),西岡弘晶3)
所属
神戸市立医療センター中央市民病院 栄養管理部1),同 麻酔科2),同 総合内科3)
キーワード
食道がん,胃管,半固形栄養剤