学会誌JSPEN Vol.7 No.4
胆管ステントによる十二指腸穿孔をきたし,十二指腸減圧チューブ留置と集学的栄養療法後に根治術を施行した肝門部胆管がんの1例
著者
田中貴之1),藤村裕子2),前川美恵子2),松本 恵3),野元美里3),吉村彰剛4)
所属
1) 地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター 消化器外科,2) 地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター 看護部,3) 地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター 栄養部,4) 地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター 薬剤部
キーワード
経腸栄養,十二指腸穿孔,胆管ステント
DOI
10.11244/ejspen.7.4_201
詳細
症例は50歳代の男性.皮膚黄染を指摘された.精査にて黄疸,肝機能異常を認め,CT,magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)で肝内胆管拡張ならびに肝門部腫瘤性病変を指摘され,胆汁細胞診でClass 4が検出され,肝門部胆管がん(Bismuth IIIb型)と診断された.緊急endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)下に胆管ステントが留置された.黄疸,肝機能は軽快傾向であったが,炎症所見が持続した.腹部CT検査で胆管ステントによる十二指腸穿孔が判明し,穿孔部に対する大網充填,十二指腸内減圧チューブ留置,腸瘻造設術が施行された.術後2日目から経腸栄養を開始し,静脈栄養を併用しながら経腸栄養を増量した.状態が安定したのち,術後25日目に肝門部胆管がんに対して肝左葉切除および胆道再建術を行い,術後補助化学療法を完遂し,術後1年半無再発生存中である.十二指腸穿孔という早期経口摂取が困難な症例には,早期から経空腸的な栄養投与経路を確保し,集学的栄養治療を施行することが望ましいと考えられた.
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