長月,あるいは夜長月と呼ばれる9 月は,秋の深まりとともに学びや実りを象徴する月でもあります.本編集後記は,9 月21 日の「国際平和デー」に記しています.広島に身を置く者として,この日は「平和」と「健康」につながりを感じます.また,9 月は敬老の日や秋分の日もあり,“健康長寿”と“共生社会”を考えるのにふさわしい月でもあります.学会誌JSPEN も,栄養を通して多くの人々の健康と幸福に資することを願ってやみません.
 さて,学会誌JSPEN Vol. 7 No. 4 では,原著論文3 編,症例報告2 編,委員会報告1 編と,今回も多彩な構成 となっています.いずれも興味深い内容ですが,私の一押し論文は「嚥下造影検査によるOral Preparatory Phase 簡易評価と口腔機能低下の臨床的影響」という原著論文です.本研究は207 例の嚥下造影(VF)を解析,咀嚼・舌の動きをスコア化し,身体機能・摂食率・肺炎発症率・生命予後との関連を示し,口腔フレイルが摂食嚥下機能や生命予後に密接に関わることを明らかにしています.高齢社会においてフレイルが注目される今,口腔フレイルの影響を明らかにした本研究は臨床的にも社会的にも大きな意義を持つと感じます.
 また症例報告では,胆管ステントに伴う穿孔症例に対して栄養療法を組み合わせることで全身状態を改善し根治術に至ったという貴重な報告があり,日常診療に直結する示唆を与えてくれます.さらに,リハビリテーション職種の役割や意識調査の報告は,栄養治療における多職種連携の課題を浮き彫りにしており,今後の制度設計や臨床現場にとって大変有益です.
 本誌が会員の皆さまにとって臨床現場の課題を共有し,新たな知の芽を育む場となるよう,編集に努めてまいります.


2025年9月吉日 e-journal「学会誌JSPEN」 編集委員会
広島大学病院 漢方診療センター  小川恵子

編集委員会
委 員 長:石橋生哉
副委員長:千葉正博
編集委員:浅桐公男  小川恵子  川口 巧
     立石 渉  谷口英喜  中山真美
     宮田 剛  元井冬彦

---------------------------------------------------------------------
学会誌JSPEN Vol.7 No4
令和7年9月30日発行

一般社団法人 日本栄養治療学会
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4丁目4-3
喜助日本橋室町ビル4階
MAIL:jimukyoku@jspen.or.jp

ジャーナル制作 中西印刷株式会社
---------------------------------------------------------------------
Ⓒ2025 by Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy