学会誌JSPEN Vol.7 No.5
アナモレリン投与により膵がん術後再発時の悪液質が改善し薬物療法導入が可能となった一例
著者
大菊正人1),小笠原隆2),細谷奈津子3),平山一久4),二橋多佳子5),杉浦正将5),松本 梓6),岡田莉奈6),才田香凜6),宮澤佑治7)
所属
1) 浜松医療センター 消化器外科,2) 浜松医療センター 呼吸器内科,3) 浜松医療センター 循環器内科,4) 浜松医療センター 臨床検査科,5) 浜松医療センター 栄養管理科,6) 浜松医療センター 薬剤科,7) 浜松医療センター リハビリテーション技術科
キーワード
膵がん,悪液質,アナモレリン
DOI
10.11244/ejspen.7.5_225
詳細
症例は78歳男性.腫瘍マーカーの上昇を契機に発見された膵頭部がんに対し膵頭十二指腸切除術+門脈合併切除が施行された.病理所見でがん遺残のみられた膵断端に放射線治療を施行.術後3カ月の全身評価Computed Tomography(以下,CTと略)にて多発肺転移が指摘された.再発確認時は体重減少,食欲不振などの症状が続いており膵がんに対する薬物治療の忍容性に乏しいと判断し,膵がんによる悪液質としてアナモレリンの投与を開始した.内服後1週間には食欲の改善と体重増加,内服後2週間には疲労感の軽減と血清アルブミン値の改善が認められ,内服後3週間から膵がんに対する薬物治療を開始した.薬物治療中も食欲は維持でき,再発後約5カ月のCTでは肺転移は約30%の縮小が得られた.アナモレリンの投与により悪液質の症状が改善し,膵がん薬物治療が開始できた1例を経験した.
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