学会誌JSPEN Vol.7 No.5
突然の摂食不良からWernicke脳症をきたした食道アカラシアに対し手術療法が奏効した1例
著者
坪井一人1),福島尚子1),中村磨浪2),谷津倉融依2),小俣朋子2),梅原健人3),鈴木俊雅1)
所属
1) 富士市立中央病院 外科,2) 富士市立中央病院 栄養科,3) 富士市立中央病院 リハビリテーション科
キーワード
Wernicke脳症,食道アカラシア
DOI
10.11244/ejspen.7.5_231
詳細
Wernicke脳症はビタミンB1欠乏から意識障害,眼球運動障害,運動失調を特徴とする症状をきたし,後遺症を残さないためには早期診断による治療介入が重要とされる.一方,食道アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全に起因する食道運動機能不全疾患であり,同部位での通過障害から経口摂取が低下し,急激な体重減少をきたす症例が存在する.今回,食道アカラシアによる経口摂取不良からWernicke脳症を発症した症例に対し,ビタミンB1投与の早期介入に加え栄養障害の主因である食道アカラシアに対する手術療法を行うことで,後遺症を発症することなく病態の改善が得られた.Wernicke脳症に遭遇した場合,対症療法に並行して栄養障害をきたす病因の検索に努めることが肝要である.加えて要因にアルコールの大量摂取が否定される急性発症例の場合,食道アカラシアもその一因となり得ることを念頭においた診療が望まれる.
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