学会誌JSPEN Vol.7 No.5
胃全摘術後に診断の遅れにより汎血球減少症をきたしたビタミンB12欠乏性貧血の1例:経口療法の効果
著者
日高秀樹
所属
宮崎県立宮崎病院 外科
キーワード
胃全摘,ビタミンB12欠乏,汎血球減少
DOI
10.11244/ejspen.7.5_237
詳細
症例は60歳男性.2型糖尿病のためメトホルミンを長期内服中.吐血のため救急搬送され,進行胃がんの診断で術前化学療法(S-1 + CDDP,4コース)後に胃全摘・Roux-en-Y再建術を施行.最終診断は印環細胞がん,ypT1aN0M0,ypStage IA.術後化学療法なし.術後36カ月の検査で貧血の進行とMCV,MCHの上昇を認めていたが,無症状のため経過観察となった.術後42カ月の受診は強い疲労・倦怠感,食欲低下,四肢のしびれのため,予定より14日早く外来を訪れた.血液検査でHb 5.3 g/dL,汎血球減少,LDHの著明な上昇に加え,血清ビタミンB12の前回値が検出限界以下であったためビタミンB12欠乏性貧血と診断し,メコバラミン補充療法{筋肉内投与 + 経口投与}を開始した.その後貧血および自覚症状は速やかに改善し,経口投与のみ継続したが,1年後も血清ビタミンB12は正常値を維持できた.
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