霜月を迎え,秋も深まり朝夕の冷え込みが一段と厳しくなってきました.臨床現場では栄養管理や感染症対策が重要となる季節です.本編集後記は,栄養治療の進歩が患者さんを支える力になることを願いながら記しています.
 今回の学会誌JSPEN Vol. 7 No. 5 も,臨床経験,症例報告,学会参加記など多彩な内容で構成されており,どの論文も甲乙つけがたい素晴らしいものばかりです.紙面の都合から,その中で症例報告「アナモレリン投与により膵がん術後再発時の悪液質が改善し薬物療法導入が可能となった一例」を紹介させていただきます.
 膵がんは近年増加の一途を辿っているだけでなく,免疫療法なども未だ承認されていない難治がんであり,治療選択肢が限られる中で薬物療法の忍容性が乏しい症例に直面することは少なくありません.本報告では,進行膵がん再発時に悪液質を呈し,薬物療法導入が困難と判断された患者に対し,アナモレリン投与を含むチーム医療で取り組んだ結果,全身状態の改善のみならず,膵がんに対する薬物療法を開始し腫瘍縮小効果を得ることができたという非常に示唆に富む内容です.栄養管理,薬剤選択,リハビリなど多職種連携の重要性を改めて認識させられます.
 膵がんは予後不良であり,悪液質は生命予後や治療継続性に大きく影響します.本症例報告を参考に,今後一人でも多くの膵がん患者が治療につながり,QOLの改善と生存期間延長に寄与できることを期待しています.
 学会誌JSPEN が,現場で直面する課題に対して解決の糸口を提示し続ける存在であるよう,編集委員会一同努めてまいります.引き続きご支援・ご協力をお願い申し上げます.


2025年11月吉日
e-journal「学会誌JSPEN」
編集委員会
久留米大学医学部 内科学講座消化器内科部門 川口 巧 

編集委員会
委 員 長:石橋生哉
副委員長:千葉正博
編集委員:浅桐公男  小川恵子  川口 巧
     立石 渉  谷口英喜  中山真美
     宮田 剛  元井冬彦

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学会誌JSPEN Vol.7 No.5
令和7年11月28日発行

一般社団法人 日本栄養治療学会
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4丁目4-3
喜助日本橋室町ビル4階
MAIL:jimukyoku@jspen.or.jp

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