要旨
【目的】当院では2015年より管理栄養士の病棟常駐を開始したが,管理栄養士の病棟常駐効果に関する報告は少ない.膵頭十二指腸切除術後の患者に対して,管理栄養士の常駐前後の短期成績を後方視的に調査した.【方法】常駐前は医師からの依頼時のみ,常駐後は定期的に栄養指導を実施した.非常駐群と常駐群において,静脈・経腸・総エネルギー投与量,術前術後の栄養指標,静脈栄養の投与期間,カテーテル関連血流感染症(catheterrelated blood stream infection;以下,CRBSIと略)疑いの件数を検討した.【結果】非常駐群が187名,常駐群が230名であった.術後7~14日目の静脈エネルギー投与量は常駐群で少なく,経腸・総エネルギー投与量は常駐群で多かった.術前栄養指標に有意差はなかったが,術後14日目のプレアルブミンは常駐群で高値な傾向であった(p=0.0502).静脈栄養の投与期間は常駐群で短かった(非常駐12日:常駐10日,p=0.0012).CRBSI 疑い件数は常駐群で少なかった(非常駐4.8%:常駐1.3%,p=0.0324).【結論】管理栄養士の病棟常駐により,総エネルギー投与量が増加した.