要旨
【目的】結腸ERAS®における早期固形食摂取の安全性を検討した.【対象および方法】2015年4月~2016年10月にERAS®で管理された結腸がん患者214例において,術後1日目スープ食,術後3日目から固形食を開始した従来群115例と,術後1日目スープ食,術後2日目から固形食を開始した早期群99例を後方視的に比較検討した.評価項目は,術後合併症,術後2~3日目の栄養摂取量,腹部膨満の発生率等とした.【結果】両群間の術後合併症に有意差は認められなかった(従来群7.0%,早期群7.0%,p=0.230).術後2日目の栄養摂取量は,早期群で有意に増加し(エネルギー従来群1,092kcal,早期群1,153kcal,p=0.001),腹部膨満の発生率は,早期群で有意に減少した(従来群49.6%,早期群33.3%,p=0.019).【結論】結腸ERAS®では,術後2日目からの固形食提供は安全に施行可能である.
学会誌JSPEN Vol.1 No.4
結腸ERAS®プロトコルにおける早期固形食摂取の安全性についての検討
著者
山下 翠1),田中智美1),湯田華奈美2),島田 文2),鐵野麻美3),吉田健太郎3),田本英司4),中村文隆4)
所属
手稲渓仁会病院 栄養部1),看護部2),薬剤部3),外科4)
キーワード
結腸ERAS®,早期経口摂取,固形食