要旨
症例は80歳代女性で右片麻痺あり.来院2日前より38℃の発熱を認め,当院内科を受診.誤嚥性肺炎の診断で入院となった.入院時に意識障害を認め,禁飲食で静脈栄養と抗生剤治療を開始した.加療後は意識レベルの改善を認め,入院後6日目に改訂水飲みテストを実施したところ,前傾座位で判定3,右下完全側臥位法で判定5だった.入院後7日目の嚥下造影検査では,前傾座位で嚥下後の下咽頭残留を認め,右下完全側臥位法では嚥下後の中下咽頭残留を認めるが追加嚥下でも誤嚥は認めず,右下完全側臥位法でペースト食摂取を開始した.発熱なく経過し,入院後14日目に前傾座位で嚥下造影検査を施行したところ,嚥下後の咽頭残留を認めず,以後は普通型車椅子で経口摂取の方針とした.退院調整を行い,入院後28日目に自宅退院となった.今回,急性期に完全側臥位法で早期より安全に経口摂取を開始し,座位での摂取へ切り替えが行えた症例を経験したので報告する.